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俺と桃とあの子

 

 正衛門が高校生の頃、SNSのブログで連載していた小説。正衛門は小説家になりたいと常々思っているわりに、人生で完成させた小説はこれ一本のみ。

 他の作品はすべて設定だけ思いついて放置するか、書き出すも途中で投げ出したものである。

 桃太郎のパロディ小説であるが、山無し、オチ無し、複線なし、笑いなし、涙なしという、逆にどうやってつくったのか不思議なぐらいの作品である。正衛門のブログ自体は同級生らから

「受験勉強の息抜きになる」

「月々300円ぐらいなら、有料でも購読する」などの声もあがる程度には好評だったが、本作のみは

「意味が解らない」

「何が書きたかったの?」

「大人しく日記を書け」

と非難轟々であった。

 しかし、正衛門が一年と少しの間だけ籍を置いていた軽音楽部の後輩の中には

「先輩、早く続き読みたいです」

と楽しんでいた読者もごく僅かにいたので、百人に一人ぐらいは面白いと感じるかもしれない。著者の正衛門曰く「つまらん」らしい。

 

イラストは高校生の頃の正衛門が書いた本作の主人公・里中健助。

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